「おめめどう®」の「どうしてメモ®」

 これは TEACCH が、いわゆる「問題行動」(行動問題?)の説明に使っていた氷山モデルのアイデアから作られています。

氷山モデルとは

 これは2000年度頃、託児ボランティアに来て下さった学生さん向けの講義のために、私が作った図です。今では使わなくなった言葉や、機材の問題でうまく表現できなかったところもありますが。

 どんなふうに説明するかというと、「問題行動」と見えている部分はいわば氷山の海から空中に突き出している部分である。つまりたった 1/9 でしか無い。その行動の理由となるなるものは水面下にある。(で、この部分で「環境設定(視覚支援なども含めて)のまずさ」が書いていないのが、今の私から見ればダメですね)
 

 だから、水面下にある問題を小さくしていかなければ、水面上のいわゆる「問題行動」は小さくならない。
 このイメージは、私にはものすごく直感的によくわかりました。
 大きく突き出した氷山のてっぺんを力で押し込んでも、力を抜けばまた突き出してくる。あるいは押し込もうとしたら別のところがボコンと突き出してくる。結局、水面下の問題を解決していかないと、水面上のものが気にならないくらいの小ささにはならない。
 というわけで、その考え方を応用して、水面下の理由によって、水面上のできごとが起こる、あるいは水面下の理由によって、水面上のことをしなきゃならない、というふうにメモを利用するわけです。

台風が来たので学校は休校

 これは台風が来たので警報が出て学校が休みになる時の説明です。

計画停電で給食が変更になるかもしれない

 これは「どうしてメモ」と「おはなしメモ」の合わせ技ですね。

 なお、メモを使い始めたばかりの時は「どうしてメモ」を書く方も、意味を読み取る方もなかなかむつかしいかもしれません。他のメモである程度の慣れが必要かもしれません。でも、もちろん最初からどんどん使ってみて頂いていいのですが。

女の子をいじめない(?)

 A4の紙に大きな氷山を書き、「◯✕メモ®」も使った合せ技です。少し下の方がきれてしまっています。
 通常級5年生。ドラえもんのファンで、特にジャイアンが好き。私にはよくわからないのですが、どこかにジャイアンが女の子をいじめるというか、つっかかるシーンがあり、それをまねて頻繁に女の子につっかかっていってました。
 そこで、君はジャイアンではないんだよ、だから、女の子からかたうでぶんはなれます、いじめません、というのを伝えています。
 そのお子さんにこの紙を見せると、ぷっと吹き出し、「これ、貰える?」と言いました。もちろんあげました。
 それからは女の子につっかかっていくことが無くなりました。


さらに深めたい人のために

自閉症・発達障害の人への非常時の支援と工夫(伝える・尋ねる)

2011年、東北大震災の時に緊急出版されました。
定価 500円
 この本には、「どうしてメモ」に限らず、多くのメモや巻物カレンダーの具体的な使い方が載っています。
 しかし、私も最近の事情に詳しくないのですが、新しく

非常時にいきる日ごろからの手立て巻物カレンダー&コミュメモの基本的な書き方

というのが出ているので、そちらのほうがより初心者にわかりやすかったりするのかもしれません。