PECS は「the Picture Exchange Communication System」の略語です。
私の PECS についての個人的な体験を言うと、TEACCH 的な取り組みをやっている仲間から1999年か2000年頃、「なんか PECS というのはコミュニケーションの獲得について、すごいらしいで。」という噂を耳にしました。2003年にアンディ・ボンディさんの講演会に行ったところ、本当にすごいな、と思いました。ただし、その後、ほどなくウツに沈みこんでしまったために、きちんとした勉強も実践もできていません。
2010年に「自閉症児と絵カードでコミュニケーション PECS と AAC」の初版が出版されました。この本は訳が正反対の意味になっているところがあったりしました。2020年に第2版が出ました。まだちゃんと読めていませんが、とても良くなっていると思えます。
『自閉症児と絵カードでコミュニケーションーPECSとAAC-第2版』
Amazonに書いてある解説
話し言葉によるコミュニケーションに重度の困難のある自閉症をはじめとした 子どもや大人の特徴のいくつかを説明するとともに、拡大・代替コミュニケー ションシステムであるPECSについて、とてもわかりやすく解説されています。 ※本書に「絵カード」は付いていません。 本書では、以下の点について詳しく説明しています。 ■自閉症やその他のコミュニケーション障害におけるコミュニケーション ■コミュニケーションから考える問題行動 ■拡大・代替コミュニケーション(AAC) ■絵カード交換式コミュニケーション・システム(PECS)での表出の教え方 ■PECS での理解コミュニケーションの教え方 PECSの良いところ ~「訳者あとがき」より~ ■最初から自発的コミュニケーションを教える。 ■自発を目指し、プロンプトは早くやめるので、プロンプト依存(指示待ち)にならない。 ■機能的(実用的)なコミュニケーション・スキルを教える。 ■トレーニングには最初から般化を組み込む。 ■絵カードを相手に手渡すので相手を意識するようになる。 ■対人接近が確実にできるようになる。 ■最初はカードと強化子との交換を教えるので、交換の運動スキルさえあればよい。 ■言葉の発達を促すことが多い。 ■ローテクで材料費が安い。 ■最初からコミュニケーションが成立するので、信頼関係を築きやすい。 など
PECS®の研修については「ピラミッド教育コンサルタント オブ ジャパン」が担っておられます。ホームページにはたくさんの詳しい説明と研修、使用するグッズに関するに関する情報などもあります。
PECS を本当に使えるようになったり、学校や事業所で同僚に教えてあげるようになるには、研修で用意されているワークショップに出る必要があると思います。(どの技法でも一緒ですが、PECS は特に)
またワークショップなどで勉強した後も、仲間と学習し、励まし合うことは大切なことだと思います。そういった場のひとつとして「南大阪 Pecs サークル」があります。
様々な研修の機会も作っておられます。オンラインもあるので大阪に限らず全国の方が参加されているとのことです。
『自閉症児と絵カードでコミュニケーションーPECSとAAC-第2版』の訳者のおひとりでもある 門眞一郎 先生のサイトにもたくさんの情報があります。
「児童精神科の門 ☆第3分冊 PECSに惚れ込んでいる私を知りたい方のために」
最後に 2003年に講演を聞いた時のアンディ・ボンディさんの素敵な言葉を私のブログ記事「自閉症の人と「TEACCH」とか「PECS」とか「療育」とか」からご紹介します。
「なぜPECSをするのか。発話できればそれはすばらしい。しかし発話できなくてもすばらしいスキルを身につけることはできる。アイコンタクトができなくてもできる。机(の前)に座れなくてもできる。もちろんアイコンタクトができたり机(の前)に座れることができればそれはすばらしいけれど」