※ 2020年の Morin らの調査で、特別支援教員がプレテストを受けた中で 2位。
全体でも 2位。
視覚的支援(Visual supports)とは、ルーチン(習慣的に行われる一連の決まった動き)、活動、期待される行動、またはこうしたらいいよという実演に関する情報を提供するために、言葉による合図と組み合わせて、または言葉の代わりに使用される具体的な合図です。
視覚的支援には、写真、書かれた文字・単語、オブジェクト、環境のレイアウト、視覚的な境界、スケジュール、地図、ラベル、概念などの図、タイムライン、および文(台本)が含まれる場合があります。
視覚的支援によって、学習に集中できたり、大人の指示や強化の必要性を減らすことで自主性を促進します。
視覚的支援には、物理的構造化(visual boundaries)、視覚的手がかり(visual cues)、視覚的スケジュール(visual schedules)の3つのカテゴリーに分けることができます。この表は、3つのカテゴリーの概要、各カテゴリーに関連する視覚的支援のタイプのサンプル、タイプの定義、スキルや行動に対処するために視覚的支援をどのように使用するかを示しています。
- 物理的構造化
- 部屋のレイアウト
- 空間の仕切りや、見て気が散るものをカーテンで隠したり
- スケジュール
- 個人スケジュール
- 教室スケジュール(全員向け)
- 「今やること」「次にやること」の2段階のみのスケジュール(例。「手を洗ったら」「おやつ」)
- キュー(例としている写真の中に「説明」とかもある)
- 問題(課題)をわかりやすくする視覚的てがかり
- 視覚的な図や(単なる絵ではなく概念図など)
- 選択ボード(選べるカードが何枚か貼ってある)
- ラベル(棚のカゴにラベルが貼ってあり、何を入れれば良いかわかるようにする)
kingstone注・cue(合図、手がかり)というと、例えば何か番組を作っていて、演者に演技の直前に出す合図のことをキューと呼びます。なお、「手がかり」という訳もあるのですが、英和辞典を見ると行動の直前に他人が出しています。
確かに視覚的支援物をそのように使うことは、視覚的支援を初めた頃は特に多いのですが、例えば「事前環境調整(ABI)」に出てきたアンドリュー君のように「問題に視覚的なてがかりをつけた」という場合、「視覚的にわかりやすく説明する」という意味で、日本語の「合図」とはかなりニュアンスが違います。また何らかの見てわかる手順書やマニュアルがあったとして、それは「合図」ではなく本人が必要な時に見る「説明」と考えられます。ひょっとしたら cue にはそういう意味もあるのかもしれませんが、少なくとも日本語では「合図ばかりじゃないよ」と言いたくなります。
- 合図 → 他人から本人に。受動的なイメージ
- てがかり → 本人が能動的に使うイメージ
どのように使っているか(音声)ただしテキストの台本もあり
小学校特別支援教育教師 ロビンソン先生
エイデンは5年生で、鉛筆を削ったり、紙をシュレッダーにかけたり、資料をラミネートしたりと、私や他の先生方のお手伝いをするのがとても好きです。 しかし、これらの仕事をするためには、たくさんの注意や手助けが必要でした。 私たちは、これらのさまざまな仕事の写真を封筒に入れたフォルダを作った。 今ではエイデンは、私や他の大人の最小限のサポートで、これらのさまざまな仕事をこなせるようになりました。
中学校教師 リー先生
アイザックの理科を担当しています。アイザックが過度に大きな声で話す時、注意するとアイザックはとても動揺し、嫌われているのではないかと不安になります。
そこで、机の上に音の大きさのピラミッド図を置き、リー先生が親指を立てたら(「いいね」したら)怒っていないことを伝えた。アイザックが大きな声を出した時、ピラミッドの数字を指差してから、親指を立てたらそれほど心配しなくなった。
音声で言われると、「自分に対して嫌なことを言っているのではないか」と思ってしまうお子さんは一定数おられます。ひょっとすると、それまでの体験の積み重ねもあるのかもしれません。
プリキンダーガーデンの先生 キング先生
幼稚園年中のジェイコブは、おやつの時間、もっと食べたいと泣いていました。最近は、お菓子の選択ボードやミルクの写真を指差して要求できるようにすると、イライラせずに楽しめるようになりました。
いくら最初の説明と言っても、文だけではわかりにくので、実際の放課後等デイサービスでの物理的構造化、スケジュール、キューなどの例を見て頂きます。(同じ動画が、メニューの視覚支援の下にある「物理的構造化」のところにも置いています)
さらに深めたい方のために
『自閉症のひとたちへの援助システム』
この本は、1999年に出版された古い本ですが、早くにお亡くなりになった鈴木伸五さんの書かれた「第3章 構造化の理解と実際」のところが、わかりやすい図もあいまって、素晴らしいです。(文は安倍陽子さんも書かれていると思います)
- スケジュール(時間のみとおし)
- ワークシステム(作業や学習がしやすいように、わかりやすい環境設定)
- 教室配置
など、またスケジュールの変化などもわかりやすく、解説されています。
価格は500円+税 (たぶん表記が 550円となっているのは税込み価格)というたいへん安い本ですので、是非とも購入されることをお勧めします。
一般の本屋さんでは売っていませんが、朝日新聞厚生文化事業団の「ガイドブック・DVD」のところから購入することができます。