※ 個人の解釈というか、めちゃええかげんな意見と思って下さい
名前の由来
TEACCH の名前は1972年創設当時は Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children (自閉症および関連領域のコミュニケーションに障害をもつ子どもたちの治療と教育) の略称でした。
しかし、子どもたちも成人になっていきます。対象は子どもたちだけではなくなりました。そこで現在は、 Teaching Expanding Appreciating Collaborating and Cooperating Holistic の略となっています。私にはうまく訳せないのですが、友人のよると「全体的(包括的)な教育・知識の拡大・正しい理解・共同研究および協力」という訳になるそうです。
参考:TEACCH のサイト
「TEACCH®自閉症プログラム」(英語サイトです)
TEACCHって何?
※2000年以前に障害児教育フォーラムで質問されたことに答えたことが元になっています。文中にもありますようにきわめてええかげんに、何も見ずに書き飛ばしたものです。
アメリカのノースカラロイナ州(イメージとしは地方(落ち着いた、と言うべきか)の県)で親の会、大学、行政、学校、施設などが協力して自閉症児や自閉症に近いコミュニケーション障害の方への療育や暮らしに対応していこうというシステムです。
大事にすること
1.自閉症の特性(自閉症の文化)
自閉症の方や近いコミュニケーション障害の方の場合、感覚やその感覚を脳で処理するところに障害があると考えられます。わかりやすく言うと「世の中の見え方、感じ方、理解のしかたが「そうでない人」と違う」わけです。そこからどうやったらお互いうまくいくかを考えます。
自閉症の方が「そうでない人」から見て奇妙な行動をとることがあります。あるいは簡単に「そうでない人」にわかることがわからずに適切な行動ができないことがあります。
でもそれは「さぼり」や「なまけ」や「親の躾が悪い」せい、とは見ないわけです。
「そうでない人」にわかる方法が自閉症の人にわかるとは限りません。だから自閉症の人にわかる方法でわかってもらおう、と考えます。
その際、自閉症の方は耳で聞くことの情報処理は苦手なことが多いのに、目で見ての情報処理は強いことが多いので、視覚的な援助をよく使います。これがよく話題になる「カード」や「写真」です。(で、またTEACCHというのはカードを使うこと、という誤解のもとともなっています)
2.ひとりひとりに合わせること
自閉症一般の特性から考えることも大事にしてますが、ひとりひとりの特性に合わせることもすごく大事にしています。
3.自立
視覚的な援助などに助けられながらでも「ひとりでできる」(自立)ことを大事にします。これはほんの小さな生活の一部からでも始めようとしています。
4.自尊心
自立とも重なりますが、本人の自尊心を大切にします。
5.コミュニケーション
自閉症の方本人からの「生活に使える(機能的である)」自発的な表現を重視します。
6.保護者と専門家との関係
TEACCHでは保護者と専門家の関係に4つの場合があり、それぞれを大事だと考えます。またこの専門家には教師や保育士も含まれます。
- 専門家が保護者に教える
- 専門家はたくさんの例を見ていますから、特に混乱している時期の保護者にいろいろ教えてあげ、楽にしてあげることは大切です。
- 保護者が専門家に教える
- しかし、そのお子さんに関しては世界で1番よくわかっているのは保護者の方です。保護者は専門家にいろいろなことを教えてあげることができます。
- お互いを支え合う
- お互いにいいところを見つけて励まし合うことができます。これはすごく大事なことです。
- 協力して社会を変えていく
- 社会を変える、というとえらく大げさになりますけど、例えば買い物に行く、ということひとつをとっても、自閉症の方のやり方で買い物ができる(ゆっくりだったり、さいふごとレジの方に渡すやり方だったり)店が増えることは理解者を増やし、自閉症の方の住み易い社会を作ることになります。
- もちろん制度を変えていくことにも協力します。
7.IEP(個別教育計画)の重視
特別支援教育についてアメリカ全土でIEP(個別教育計画。日本の個別の教育支援計画と個別の指導計画を合わせたもの)を立てることが義務づけられています。TEACCHは上記のような考え方で専門家と保護者との協力を大事にしていますので、IEPも非常に重視しています。(これも過去にTEACCHとはIEPのこと、という誤解をしている人がいる原因ともなっていました)
仲間や情報を探せるところ
私は実践する少し前からTEACCHという言葉は知っていました。また1997年からは本も読み、講演会にも行って勉強しました。しかし1年くらいは何をどうやったらいいのかわかりませんでした。
わかったのは、2日間の宿泊研修や5日間の宿泊研修、そして地元で勉強会を作って講師に来て頂き、実践してうまくいかないところを質問したりしてからです。
本を読んだだけで理解し、うまく実践するのはかなり難しいかもしれません。やはり対面でいろいろ教えてもらえることも大切だと思います。
なので、仲間や情報を探せるところをご紹介しておきます。
TEACCHプログラム研究会
この中には各地方支部の紹介もあります。しかしリンク先を見ると、ホームページが更新されていないところもあったりしますね。最近だと、Facebook 上とかにあるのかな?
支部情報
横浜発達クリニック
べつに TEACCH に特化しているわけではありませんが、内山登紀夫先生のクリニックで、リンクをはったページの下の方にセミナー情報があります。YouTube での動画配信などもしておられます。
TEACCH・自閉症支援
川崎医療福祉大学のホームページです。セミナー情報などがあります。
さらに深めたい方のために
『自閉症のひとたちへの援助システム』
1999年に出版されました。
おおまかに TEACCH ってこういうものなのだな、ということを知るのにたいへん良い本だと思います。章立ては
- TEACCH とノーマライゼーション
- 診断と評価
- 構造化の理解と実際
- どこでも役立つインディペンデント・タスクの実例
- 注・インディペンデント・タスクというのは自立課題学習のことです。
- コミュニケーションプログラム
- 余暇スキルとレジャー
価格は500円+税 (たぶん表記が 550円となっているのは税込み価格)というたいへん安い本ですので、是非とも購入されることをお勧めします。
一般の本屋さんでは売っていませんが、朝日新聞厚生文化事業団の「ガイドブック・DVD」のところから購入することができます。
『本当の TEACCH』内山登紀夫著
2006年出版
Amazon の解説
自閉症の子どもや大人への現在の最も実践的で優れた対応であるといわれるアメリカのノースカロライナ大学で始められたTEACCHプログラムについて基礎の入門から応用上級編までを分かりやすく解説する。我が国における誤った理解などにも言及する。