物理的構造化とは

もともとは TEACCH の用語です。 
物理的構造化と書くと、何か「固く」「たいそう」なことのように思えます。
 しかし、実は「構造化」というのは「わかりやすくする」と訳せばいいのじゃないか、しかも TEACCH の場合「見てわかる」という訳でいいのではないか、と思っています。物理的構造化は「時間ではなく場所を見てわかるようにする」「(できるだけ)ここはこれをするところ、あそこはあれをするところ」と機能を分けるとより偏りの強い方でも楽に過ごせるようになります。
 上の図は、ある放課後等デイサービスのレイアウトの紹介をさせて頂くために 2020年6月27日に訪問した時の見取り図です。(現在は変わっているかもしれません)
 右上の部屋は「作業」のスペースと「学習」のスペースに分かれていて、それだけをします。
 プレイスペースは、上側は畳が、下側はマットが敷いてあり、そこに座って遊ぶのだ、というのがわかります。
 カームダウンルームはカームダウンのためだけに使うので、おもちゃの持ち込みは禁止です。
 もちろん玄関は靴を脱ぎ履きするだけの所ですし。道具にしろ、部屋・場所にしろ自閉スペクトラム症の方は「複数の目的に使う」ということが苦手な方が多いので。

 そして日ごろからそういうふうに運用していれば、お子さんは「見ただけでわかる」ようになりますよね。

 ご家庭では広さの関係などで難しいことも多々あるかもしれませんが、食事は食卓の決まったコーナーで、作業する時は別のコーナーに色のついたテーブルクロス的なものを置いて、など、「今、この場所では、これをする」がわかりやすくなるといいですね。

上の説明だけではわかりにくいと思うので、実際の物理的構造化の例を見て頂こうと思います。


さらに深めたい人のために

『自閉症のひとたちへの援助システム』

 この本は、1999年に出版された古い本ですが、早くにお亡くなりになった鈴木伸五さんの書かれた「第3章 構造化の理解と実際」のところが、わかりやすい図もあいまって、素晴らしいです。(文は安倍陽子さんも書かれていると思います)

  • スケジュール(時間のみとおし)
  • ワークシステム(作業や学習がしやすいように、わかりやすい環境設定)
  • 教室配置

など、またスケジュールの変化などもわかりやすく、解説されています。
 価格は500円+税 (たぶん表記が 550円となっているのは税込み価格)というたいへん安い本ですので、是非とも購入されることをお勧めします。
 一般の本屋さんでは売っていませんが、朝日新聞厚生文化事業団の「ガイドブック・DVD」のところから購入することができます。