「アメリカ教育省」の「特別支援教育プログラム局」が「国立自閉スペクトラム症についての専門能力開発センター(The National Professional Development Center on Autism Spectrum Disorder :以下 NPDC)」に、 2007年から2014年まで資金提供し、根拠に基づいた実践(Evidence-Based Practices :以下 EBP)が計画でき、行い、見守ることができるようになるための公開講座として作られたのが「自閉スペクトラム症に焦点を当てた実践法資料と講座(Autisum Focused Intervention Resources & Modules :以下 AFIRM)」です。
NPDC の本拠はノースカロライナ大学にあります。
AFIRM の講座は誰でもアカウントを作れば受けることができます。もちろん英語がネックですが、最近のブラウザ(エッジやサファリやクローム)につけられる翻訳機能を使えば、変換できる部分は日本語で読むことができます。画像、動画、プレゼンなどは翻訳できません。
TOPページに書かれている項目は翻訳すると以下のようになっています。
※ 技法名などの翻訳については自信の無い部分もありますので、上記リンクで正式な呼び方を確認してください。
自閉スペクトラム症入門
根拠ある実践の選び方
対象のお子さんに合わせてどんな目標を選び、どんな実践法がいいか候補を探していくプロセスの説明
特別支援教育専門員などのための講座
- 強化
- うながし
- 友達との交流支援
- 待つ
- 視覚的合図
※ Paraprofessionals を「特別支援教育専門員など」と訳してみましたが、要は学校の教師以外のスタッフのことのようです。1説には清掃員なども入るというご意見もあります。教師以外の人も詳しくなってくださるといいですね。
幼児に関わる人たちのための講座
- 幼児のための AFIRM の紹介
- 幼児のための行動支援
- 保育現場での自然な介入
- 家庭での親の介入
- 強化
- 促し
- 視覚的支援
根拠に基づいた実践講座
※ アルファベット順に並んでいます(数字はkingstone)
- 拡大代替コミュニケーション(Augmentative & Alternative Communication : AAC)
- 事前環境調整(Antecedent-based intervention : ABI)
- 感覚統合(Ayres Sensory Integration : ASI®)
- 行動運動量介入(Behavioral Momentum Intervention : BMI)
- 認知行動療法(Cognitive Behavioral Intervention : CBI)
- 直接指導(Direct Instruction : DI)
- 分化強化(Differential reinforcement of alternative, incompatible, or other behavior : DRA/I/O…あれ? L が無い)
- 不連続試行訓練(Discrete trial teaching : DTT)
- 運動(Exercise:EX)
- 消去(Extinction : EXT)
- 機能的アセスメント(Functional behavior assessment : FBA)
- 機能的コミュニケーション訓練(Functional communication training : FCT)
- やって見せる(モデリング、Modeling : MD)
- 音楽療法(Music-Mediated Intervention : MMI)
- 日常発達介入(Naturalistic intervention : NI)
- 友達を介した指導と介入(Peer-mediated Instruction and Intervention : PMII)
- 親による介入(Parent Implemented Interventions : PII)
- 促し(プロンプティング、Prompting : PP)
- 強化(Reinforcement : R+)
- 反応妨害と方向づけ(Response interruption/redirection : RIR)
- 自己管理(Self-management : SM)
- 社会物語、ソーシャルストーリーを含む(Social Narratives : SN)
- ソーシャル・スキル・トレーニング(Social Skills Training : SST)
- 課題分析(Task analysis : TA)
- 機器を使った指導と介入(Technology-aided Instruction and Intervention : TAID)
- 待つ(Time delay : TD)
- 動画で見本を見せる(Video Modeling : VM)
- 視覚的支援(Visual Supports : VM)
※ 2020年の調査(論文)で管理職、教師、特別支援教師が受講した中で、どの職種も1番多かったものが「事前事象に基づく介入(ABI)」で、2番目が「視覚的支援(VS)」だった。
補足講座
※ アルファベット順に並んでいます(数字はkingstone)
- 絵カード交換コミュニケーションシステム(the Picture Exchange Communication System:PECS®)
- ピボタル反応訓練(Pivotal response training : PRT)
- 台本。スクリプト(Scripting : SC , プロンプトとフェーディング込み))
- 構造化された遊びのグループ(Structured play groups : SPG)
※ PECS®は少なくとも2015年までは上の「根拠に基づいた実践講座」の中に入っていました。正式な指導は、正式な講座を受けた人しかできない、ということで「補足講座」のほうに回ったのでしょうか?
またおいおいと、各項目の記事を書いていきたいと思います。なお順番は基本的に Morin et al (2020)での特別支援教育担当教師が良く学習した順に書いていきます。
参考文献
「自閉症スペクトラム症のある人への介入研究が学校教育に貢献するために ー特別支援教育にかかわる教育心理学研究の動向ー」
井澤信三(2021)『教育心理学年報』Vol.60, 91-103
Evidence-based practices for children, youth and young adults with autism spectrum disorder- A comprehensive review.
Wong et al, 2015 『Journal of Autism and Developmental Disorders』Jul;45(7):1951-66
Knowledge of evidence-based practices and frequency of selection among school-based professionals of students with autism.
Morin et al, 2020,『Journal of Special Education』,First published online September 18, 2020